この前、終電に間に合わなくなった友達を車で送っていったときのこと。
友達の家からの帰り、新興住宅地の中のどれも同じような道でちょっと迷った。
気がつくと行き止まりの袋小路に突き当たってた。

よく見るとそこは駅前の広場だったのね。
東武野田線の増尾ってところ。

駅の照明も落ちてて、コンビニが1軒あるけど明かりといえばそれだけ。
ついでに何か買い物していくかとその前で車を止めて降りると「えっ!」と思った。
電柱という電柱、歩道の並木の一本一本に看板みたいなのが張りついてて、葬儀場がどうとか書いてある。

駅の真っ正面が建設現場で、それがどうも葬儀場らしかった。
広大な住宅地のど真ん中なのに・・・。

こんなところに葬儀場?と思って近づいてみた。
薄暗い闇に、シートで囲まれたまだ鉄骨の建物が立ちはだかっていた。
そのとき、誰もいないはずの建物の中から、何かを叩く音が聞こえた。

コンコン、コン。
コンコン、ピシッ。

工事やってるはずないし、人がいる気配もないのに、音だけが響きつづけている。
あたりは駅前だっていうのに薄暗くて、街もコンビニも静まりかえってた。

この世の物ともつかない、違う世界に踏み込んだような感じだった。
なんだか背筋が寒くなって、コンビニにも入らず、すぐに車を出した。

また友達を送ってくことになっても、もうあの行き止まりには迷い込みたくないな。
「気」が溜まってるていうか、あそこには何かがありそう。

この辺の土地について詳しい方とかいらっしゃいませんか?