東京の外れ秋川にキャンプに行った時の事。

キャンプと言っても呑むのが目的だったので現地に着いたのは23時をまわってたと思う。
川原に着くなり自称「霊感の強い奴」が「ここはヤバイ!」といってダッシュで引き返してしまった。

ガクガク震えているそいつに聞いてみると、その川原はたくさんの霊がたむろしており、俺らが来ると一斉にこちらを向いて「来たな・・・」って感じで見てたらしい。

その時の俺は(場の雰囲気を壊す野郎だ)気にも止めなかった。
女の子も含め残った6~7人でそのままキャンプする事にして焚き火を囲んで皆でワイワイやってた。

辺りは塗りつぶしたように真っ暗。
でも通い慣れてた川だったんでなんとも思わなかった。
ところがしばらくして妙な事が・・・。

公衆トイレに行って帰って来た女の子が「イタズラはやめてよ・・・」と言ってきた。
トイレに入ると彼女が出るまで誰かがドアをバンバンと叩いていたらしい。
トイレは俺らの場所から歩いて30秒もかからないちょっと小高い丘にあった。

川原には俺ら以外に人はいないし、彼女以外にトイレには行ってなかったし、そんな音を聞いた者もいない。
何の事?と皆キョトンとしていたその時だ。

川の中からザブザブと音がする。
まるで誰かが向こう岸から川を渡るような音だ。
シーズンも過ぎた寒いくらいの季節に真っ暗やみの川を明かりも無しに渡れる奴がいるだろうか?
その場の誰もがその音を聞いたがその時は怖くて誰もその話題に触れなかった。

結構酒も呑んでたので車で帰るわけにもいかず、結局みんなグデングデンに酔っぱらって朝まで過ごした。

その間中俺らの周りをジャリジャリ歩き回る気配があった。
何も見なかったしそれ以上怖い事はなかったが、今までで一番ビビった体験でした。