友人Aは先輩三人に誘われ初めて東尋坊に行く事になった。
東尋坊と言うのは、自殺名所と呼ばれる場所だが有名な観光地でもある。
それが夜中にでも行くとやはり自殺名所だけに怖い。

ここから最も関係する運転手の先輩をBとする。
と言うかBしか出てきません。
そして真夜中に東尋坊に着き歩く事になった。

来る途中にトンネルがあったり公衆電話があったりと、まあ普通なのだが公衆電話の中には積み重なった十円玉があったりと印象的ではあった。

しばらく歩いていると雄島と言う場所に辿り着いた。
そこは崖から飛び降り自殺した者が潮の流れで辿り着く場所と言うのだ。
俺たちは皆「うわぁ・・・・・・・・・」と声を出してビビリ立ち止まっているとBがいきなり震え出し「やっややべええ・・・逃げるぞ!」と言い出し、皆も咄嗟に車の方に走って行った。

車に着くとBは恐怖のあまり鍵を開けられていない。
皆は「何してんねん!」という気持ちでいた。

そして車に乗りBは勢い良く発進し猛スピードで走り出した。
みんなが何か聞いても応答せず空気はシラけてしまった・・・。
その時だ。

後ろの席に居た俺は心臓を煽られるような物凄い圧迫感に「なんやこれ・・・っ」と声も出ない。
金縛りのような感覚だ。

苦しさのあまりとりあえず車を止めてほしく車の正面ミラーに見えるBに助けを求めるが目が合っているにも関わらず(いや状況を知っているような目)一向に止まる気配がない。

一キロ位走っただろうか。
ゆっくり苦しみが消えていく。
そして車は止まった。

俺は落ち着く間も無くBが喋り出したので話を聞いた。

「雄島で足元を掴まれた・・・」

「車を走り出させてからミラーでお前(俺)を見た時、お前の正面に向かい合わせに誰か居て、胸を強く押さえてるような・・・感じだった」

確かに俺には何も見えなかったが、俺は一キロ位の距離ずっと正面ミラーに見えるBと目が合っていた。
でもよく考えてみると、運転している者があの距離の間ずっとミラーから目を離さずにいる事などまずありえない。
俺と真っ正面に目を合わせていた者はきっとBが雄島で足を掴んだ奴だったのだろうか。