これは自分が高校生だった頃のお話です。

夏の出来事です。
毎日バイトが終わると友人達がたむろしている場所に出向きます。
約10名ほどの仲間で毎日夜な夜な集まり遊びに出掛けていたのですが、その日は雨だったこともありバイトから直では行きませんでした。

家でシャワーを浴び、着替え、ベランダから外を見てみると丁度雨が止んでいました。
今ならネットをしたりオンラインゲームをしたりと退屈を持て余すこともありませんが、当時の自分達には仲間で集まり遊ぶことでしか退屈しのぎがありません。
うずうずした気持ちで単車にまたがり友人宅へ向かいます。

友人宅前でエンジンを吹かすとマズイので30m位離れた場所で一回吹かします。
そしてニュートラルに入れ友人宅前の通りにスゥーと横付けすると二階の窓が開き小声で「今、行く」とTが言いました。

「アレ、誰も来てないの?」

「今日、誰も来てない」とTが答えます。

暫くふたりで話していると同じくうずうずした気持ちでHが現れました。

「アレ、ふたりだけ?」

「うん」

「今日は路面濡れてるから峠無理だな」

「そうだね」

「どうする?3人だし」

「肝試し行かない?」

「どこへ?」

「実は先輩から聞いたんだけど哲学堂はでるらしいんだわ」

それは老婆が夜な夜な徘徊してると言う話しで、なんでも未婚で妊娠してしまい、哲学堂のトイレで出産をしたら醜い赤子が産まれた。
そのまま捨てて逃げたらしく精神を病んでしまい精神病院に入退院を繰り返し、晩年は哲学堂を徘徊し、哲学堂の桜の木で首つり自殺をしたという話。
それ以来、夜な夜な「ぼうや・・・、ぼうや・・・」と老婆が囁きながら徘徊してる・・・というウワサも。

また、哲学堂の入口には鬼燈とか幽霊梅だとか、天狗の像があったり、あの世とこの世を結ぶスポットだとか、結構霊が出ると噂のスポットとも言われていたのでワクワクしながら行くことにしました。

雨が降っていたせいもあるのでしょうか、夏なのに若干涼しい。
そして時刻は深夜2時の丑三つ時。

特に霊感らしいものを持っていない3人も、哲学堂に着くと空気が変わるのが感じました。

まずは幽霊の像へ行こうとすると問題が・・・。
哲学堂には閉園時間があり入れないのです。
しかしヤンチャだった自分達は入れそうなところを探そうと公園内をうろうろします。

「なんか入れそうなとこなくない?」

「ねぇーなー」

「ちょっと待った、便所」

「おお、行ってこい」

すると便所に行ったTが「おい、これちょっとなんだよ・・・」と。
自分等もトイレに向かいます。

するとそこには血にしか見えないどす黒い鮮血に染まった毛布らしきものが、何かをくるんでるような感じで無造作に洗面台の上に・・・。

「なにこれ?なんかやばくない?」

「オレ血にしか見えない・・・」

「だ、だよな・・・」

「おい、ヤバイなんか来た!!」

自分もあまりの驚きに一瞬しか見れなかったんですが、推定2m近くありそうな男か女かも分からない物体が走ってきていました。

一気に血の気が引き毛が逆立つのが分かりました・・・。

「逃げろ!!」

Hの言葉で全員が一目散に公園内から出られる階段状の通路を走り抜け単車にまたがりそのまま走り去りました。

「あれなんだったんだよ?死体か?」

「知らねぇーよ」

「単なるペンキかも知れないもの警官に言ってもしょうがねぇーしな」

「オレらが疑われるわ」

「それにあの暗闇で走ってきたのなんだ?」

「知らねぇーよ」

「超コエーよ、まだ追いかけてくる気がして仕方ない」

「あれは怖かった」

「取りあえず黙っとこ、なんか事件があれば新聞に載るし」

「そしたら名乗り出ればいいな」

「そうしよう」

「そうだな」

それでその日は終わり、後日新聞に目を通すも特になにもなく終わりました、
ただ未だにあの血に染まった毛布がなんだったのか?
追いかけてきた巨人がなんだったのか?
真相は全く分かりません・・・。

ただ誰もがあの状況におかれたらパニックになることでしょう。
もしもあの頃に携帯電話があれば色々な状況証拠を残せたのにと悔やまれます。

哲学堂は本当に出るらしいので興味のある方は行ってみるといいかもしれません。