これはスキューバダイビングのインストラクターさんに聞いた話です。

大阪から、お客さんを乗せてインストラクターさんと車で和歌山にスキューバダイビングをしに行きます。
昼間みんなでダイビングして、夜は自殺の名所へ肝試しに行くのが流行ってました。

そこは和歌山では有名な自殺の名所で、高さ数十メートルの断崖絶壁。
目の前には広大な海。
落ちれば終わりなのは一目瞭然。
街頭などなく、真っ暗で薄暗く光る電話BOXがポツンとあるだけです。

その場所には『お悩み相談ダイヤル』の張り紙(?)が電話BOXにあったり、自殺を食い止める為の看板などもあるそうです。

そんな場所へお客さん数名とインストラクターさんはワイワイ楽しそうに車で向かいました。

目的地に着いて、みんなでワイワイ楽しそうに車を降りて行くのですが、一人だけテンションの低い子がいました。
その場所をグルっと見て回り、また車で宿泊施設に戻るんですが、みんなワイワイしてるのに、やっぱりその子だけ何も喋らずテンション低めな感じでした。

インストラクターさんは気になって、宿泊施設に戻ってからその子に聞きました。

「途中から元気なかったけど、どうしたん?体調悪かったん?」

すると、「いえ、大丈夫です。ただ、あの場所に着いた時から、インストラクターさんの足首をずっと掴んでる腕があったんです」って言われたそうです。

ちなみに『腕』は宿泊施設に着いた時には消えてたそうですが、その事を聞いてからは恒例の肝試しはなくなってしまったそうです。

そのインストラクターさん本人から聞いた話ですが、まだ元気にしているので大事には至らなかったようです。