中学生の時、ウチの学校でもコックリさんの亜流だと思うんですが「エンジェルさま」というのが大流行して、私も仲良しの友人と3~4人で集まっては休み時間にやってました。

エンジェルさまは、紙を用意して50音と『はい』、『いいえ』を書き、鉛筆を向かい合って座った人間2人で持って(指相撲みたいに)やる降霊ごっこです。

当時は流行すぎておかしな体験をする人が増えてきました。
授業が始まっても鉛筆を掴んだ手が離れずにゴリゴリとひたすら円を書き続けて先生に叱られたり、紙にくっつけたままにしなくちゃいけないはずの鉛筆が浮かんで、見学していた子の手の甲を突き刺す事件があったり・・・。
でも、クラスの恋愛事情という、くだらない事ではしゃいでいた私達は、その日も怖がる事なくエンジェルさまをはじめました。

鉛筆を握るのが私とA、見学&質問するのがBとC。
最初はこの中に好きな人がいるとか他愛のない質問をしていたんですが、上記の事件が起きて時間が経ってなかったのもあり、Cが「この間DちゃんやFちゃん達のところにいらっしゃったエンジェルさまはあなたですか?」と聞きました。

答えは「はい」でした。

ここで4人とも顔を見合わせてしまいました、怖いというより「えっ?」という感じでした。

次にもう一度Cが「あなたは悪いエンジェルさまですか?」と聞きました。
答えは「いいえ」でした。

私もみんなもほっとしました。
なんだかいつもより手が疲れるので「早く終わりにしたいな~」とも思っていたので、ここで「はい」と答えられてしまったら長引きそうで嫌でしたし。

次にDがCの質問を継いだ形で質問しました。

「あなたは良いエンジェルさまですか?」

答えは「いいえ」でした。

この瞬間、さーっと血の気が引いていくのを感じました。

と同時に「きゃっ!」と叫んで一緒に鉛筆を握っていたAが恐怖で鉛筆を離してしまったのです。
すぐ後に私も鉛筆を離し「急に離さないでよー!」とどきどきしながらAに怒りました。
エンジェルさまも終わらせる時には決まりがあり、それをするまで鉛筆から手を離してはいけない事になってたからです。

その約束を破ってしまった事と、さっきの最後の答えが怖くて、4人で大げさに面白い話(たいして面白くもなかったんですが)をして大声で笑ってました。
そのうちに、Aがすくっと立ち上がって「水飲んでくる」と言いました。
さっきまで大笑いしていたテンションから急に素に戻ったような、奇妙な印象を受けましたが私も他の友人も「あっそう~」と返事だけしてまた話しに戻りました。

10分くらい経ったでしょうか、Dが「A遅くない?」と言いました。
水飲み場は教室のすぐ外ですが、ちょっと水飲んで帰ってくるなら3分もかからないはずなのにまだAは帰ってきません。
「トイレ寄ってきてるんじゃない?」とCが言ったんですが、さっきの事もあるし、なんだか気になったので3人で様子を見に行こうと教室の扉を引きました。

すると、目の前の水のみ場でAが蛇口に口をつける姿勢で腰を屈めていました。

「ああ、なんだ、まだ水飲んでたんだ」と少し安心してAの隣りに行って自分も水を飲もうとした時、Aの顔を見た私は恐怖で凍りつきました。

Aは、口元に笑みを浮かべたまま心底幸せそうな顔で水を飲んでいたんです・・・白目で。

「Aっ!」と私は勇気を振り絞ってAの肩を掴み蛇口から顔を上げさせました。
けれど、Aは白目のまま無言でぐいぐいまた水を飲もうと顔を蛇口に近づけます。

おかしいと気付いたCとDも手伝って3人がかりで蛇口からAを引き剥がそうとするのですが、もの凄い力でなかなか離れません。
その間も「A!なにやってるの!?」「手、はなしなって!」と皆で叫び続け、私達は半泣きになっていたんですが、突然Aが叫びました。

「おみずぅーーーーーーーーーーーー!!!!」

恐ろしく甲高い声で叫んだと同時に蛇口を掴んでいた手が離れました。
あの時の声は本当に、本当に怖かったです・・・。
Aの声じゃないみたいでした・・・。

その直後、Aは少しだけ気を失って(というかぐったりして何も反応してくれなかった・・・)たのですが、正気になった時に話を聞いてみると、なんだかむしょうに喉が渇いて、水飲み場に言って水を飲み始めたら、それがすごくおいしく感じたんだそうです。
で、自分でも驚くほどごくごくと飲んでいて、だんだん苦しくなってきたのに水は美味しくて、飲むのを止めなきゃと思っているのに身体が動かなくって水を飲み続けてて・・・。
その後は私達に蛇口から引き剥がされるまで記憶がないそうです。

それ以来、エンジェルさんをする事は二度となかったんですが、今あの時の事を思い出して書いているだけで心臓がドキドキして怖くなってきます・・・。
文章にしてみるとそうでもないかもしれませんが、理由もなにもわからないのでほんのりと怖い体験でした。