先輩から聞いた話。
先輩や私は船に乗る仕事をしていて、年に一回修理地に入る。
そこでの話。

私は入った事の無いドックなんだが、O県にあるところらしい。
そこは今までにも人死にが多く、渠底(きょてい ※船を修理するような人工溝が掘られたところ)への転落とかもあったそうだ。
そこで先輩は深夜の当直にたっていてヒマを持て余しといた。

すると、舷門小屋(げんもん小屋 ※見張りなどする所)にあった二本の紐が目に留まり、なんの気無しに輪を二つ作ってみた。
本当に手遊び感覚で意味もなく作ったんだと。

ふと見ると壁の程よいところに釘みたいな物が刺さってて、つまり物がかけられるようになっていた。
そこに作った輪を一つかけ、結び目にかかるようにもう一つの輪をひっかけたら、椅子に座った先輩の顔の位置に輪がきたらしい。
その時何を思ったかその輪に首をかけ、体重を預けるかたちになった。

徐々に力を抜けば索が首に食い込み血が止まり意識も薄れてくる。
力が完全に首だけにかかり、おちる瞬間身体って痙攣するんだよね、ぴくぴくって!

そしたら偶然紐の結び目が輪から外れて輪が二つに分かれたんだよね。
分離した輪とともに地面に落ちて先輩は床に崩れ落ちて一命を取り留めた。

こんな事をした先輩だけど、明らかに自殺願望がある訳でも悩みがある訳でも無い。

そのドック全体が悪い場のようになっているらしい。