14年位前、郵便局で配達の非常勤をやっていたときの話です。

自分の配達の担当区は山奥のほうで、同じ苗字が4~5件くらいかなり広い間隔でちらほらあるような所でした。
そんな地区に1軒だけ、このあたりにはない苗字の家がありました。

他の家ともかなり離れており、バイクを置いて歩いていかないと家までいけないような道の悪いところでした。

おじいさんとおばあさんの2人暮らしで家は、まさに掘っ立て小屋。
でも2人ともとても気さくでやさしくて、いい人でした。

ある日、現金書留を配達するために訪れた時の出来事です。

呼び鈴も何もないので、玄関をあけ大声で「○○さ~ん郵便で~す」といつものように呼びかけましたが、でてきません。

人の気配があるので暫く何度も声をかけましたが応答がないので、帰ろうと振り返ると、「っぁぁ~~」「ぉふ~」と人の声が聞こえました。

自分は2人に何かあったと思い急いで部屋に上がりこんでふすまをあけました。

すると・・・畳がぼろぼろになった部屋で、おじいさんが口をパクパクさせ横になりその口におばあさんが、スプーンで得体の知れない臭く茶色く糸をひいたものを食べさせていました。

「なにやってるんですか!!」僕が怒鳴るとおばあさんは「じじさんが・くすりくれって・・」とか細い声でいいました。
僕は絶対危険と思い急いで119番通報しました。

後日、その時の状況を警察に聞いたのですが、おじいさんが倒れてそれをみたおばあさんが気が卒倒し、精神崩壊して奇行を行ったそうです。
後日おじいさんもおばあさんもお亡くなりになりました。

ちなみに『あの』薬だ、といって食べさせていたものは、飼い猫の糞とかんぴょう、石を混ぜたものだったそうです。

それを聞いた時は鳥肌がしばらく治まりませんでした。